◆基礎チャート(1)-Ⅲ◆ |
【本章の目標】「ザ行」→「ラ行」変換の歴史と使い方を学びましょう |
和歌山人たる者
「ザダラ変換に基づく会話を行わなければならない」partⅠ |
●和歌山弁のイントネーション(抑揚)は、会話全体をみると基本的に関西弁、大阪弁と呼ばれるものと良く似ています。無論、単語(特に固有名詞)一つ一つをみていくと独特のものは有るにしても大体同じです。発音の点で決定的に大阪弁と異なるのは、「ザダラ変換」を行うということです。
●例をあげてみましょう。
「ザ行⇒ダ行」の例
「どうきん(雑巾)」「でんだい(善哉:ぜんざい)」「れいどうこ(冷蔵庫)」など。
「ダ行⇒ザ行」の例
「サラザ(サラダ)」「ざついじょ(脱衣所)」など。
「ダ行⇒ラ行」の例
「めらか(メダカ)」「ころも(子ども)」「いろみず(井戸水)」「かだら(体)※」など。
「ラ行⇒ダ行」の例
「おいだん(花魁)」「かだら(体)※」
●※印のついている「かだら(体)」では、ザ行・ダ行それぞれ入れ替わっているという特殊なケースです。多用される単語なので是非皆さんにも会得して欲しいものです。
●さてザダラ変換の起源については、その筋のプロの方がわざわざメールで教えて下さいました。まずはお礼を申し上げ、紹介させて頂きたいと思います。
「四つ仮名の混同」という日本語史上の出来事をご存じでしょうか。16世紀に、ザ行の「じ・ず」とダ行の「ぢ・づ」の発音の区別がなくなった出来事です。今ではほぼ全国的にこの4つは、発音の区別がなくなっていますが、和歌山はこれを10にまで進めたのです。つまり先進性の現れ、先駆的な試みだったのです。
●要するに「ザ行5音、ダ行5音」の合わせて10音が混同されるようになったわけです。16世紀といえば、室町後期〜安土桃山時代ですね。雑賀衆が秀吉に倒され、和歌山城が築かれたのが1585年ですから、その辺りでしょうか。なぜそういうことがあったのか、という事は分かりませんが、「ザ・ダ」変換はすでに400〜500年の歴史があるということですね。
●最近和歌山市内では、若年層がこのような発音をすることは極めて稀になりました。中年〜高年層が主にザダラ変換で喋ります。つまり中高年層なのにザダラ変換をせず話している人は、おおよそ他府県出身であると推測できます。若年層の場合は、上にあげた例のような単語の発音を、微妙にぼやかす、つまり「ザ」と「ダ」と、どちらにも聞こえるような発音をマスターすれば完璧です。 |
◆設問◆次の単語をひらがなで和歌山弁に直しなさい。 |
1、「心臓」 2、「雑煮」 3、「古座川町」 4、「シャアザク」 5、「007」
【ヒント・・・「ザ行」→「ダ行」の鉄則を遵守すれば大丈夫】
|