疑問代名詞・不定代名詞は次のように、ほぼ鼻音幹の第三変化をします。疑問代名詞と不定代名詞の違いはアクセントだけです。

疑問代名詞・不定代名詞の男性・女性・中性の単数の属格・与格、不定代名詞の複数主格・対格では、
という形も使われます。
は定冠詞と同じ形をしているので、訳読の際には注意が必要です。
【参考】
一般に
は、短縮された形であると説明されています。ですが、それなら
などより後になって現われるはずなのに、実際には古い時代のギリシャ語にも見られるため、
のほうが古い形であるとする人もいます。専門家の間でも意見が分かれているようです。
いずれにしても
が定冠詞と同じ形なのはたまたまのことで、語源的な繋がりは無いようです。
疑問代名詞でも不定代名詞でも、男性・女性の単数対格
・
は、うしろに母音で始まる単語が続く場合は、母音連続を避けるために
と省略されることがあります。
他方、単数与格の
・
や、中性単数主格・対格の
・
などは、そのまま母音を保ちます。別形
も語末の母音を失うことはありません。
疑問代名詞は、単数属格・与格の別形
を除き、常に最初の音節に鋭アクセントがつきます。
男性・女性の単数主格
、中性主格・対格の
は、鋭調語(最後の音節に鋭アクセントがついた語)です。鋭調語のうしろに単語が続く場合は、ふつうは鋭アクセントを重アクセントに変えるのですが、疑問代名詞は例外的に鋭アクセントを保ちます(参考:重アクセントの規則)。
【例】
「どの馬?」
※ アクセントの規則からすると
になるけれども、
の場合は、鋭アクセントのまま。
中性複数形
を除いて、不定代名詞は前接辞ですので、文中ではたいていアクセントを失っています。不定代名詞がアクセントを保つのは次の場合だけです(参照:前接辞)。
前接辞であるということから、ふつう不定代名詞は修飾する語の後に置かれます。ただし
「一方〜」・
「他方〜」と組み合わせて使う場合には、不定代名詞のほうが前にきます。
【例】 ![]()
「一方(の)ある人々は……、他方(の)ある人々は……」
「……という人々もいれば、……という人々もいる」
・
は、単独で疑問代名詞として使われるほか、名詞を修飾する疑問形容詞として、また疑問文では疑問副詞としても用いられます。
・
は、単独で疑問代名詞として使われた場合は、「誰?」「何?」を意味します。
この場合は、男性形・女性形であれば通常は人間を指し、「誰?(どの男? どの女?)」という意味になります。中性形であれば人間でないもの、「何?」です。
【例】 ![]()
「誰がアテナイへフクロウをもたらしたのか?」
※
は男性(または女性)・単数・主格で、
「(彼は)もたらした」の主語になっています。
(フクロウ)は女性・単数・対格ですから、
とは性・数・格が一致していません。つまり
は形容詞として使われているのではありません(参考:形容詞的用法)。
・
は、「どの〜?」「どんな〜?」「如何なる〜?」などを意味する疑問形容詞として、名詞と一緒に用いることができます。形容詞として使われているのですから、もちろん
・
は、名詞と同じ性・数・格になります。
【例】 ![]()
「どのフクロウを、彼はアテナイにもたらしたのか?」
※
は女性・単数・対格。
(フクロウ)も女性・単数・対格で、性・数・格が一致しています。つまり
は
を修飾する形容詞として使われています。
このように、疑問形容詞として使われる
・
の性は、修飾している名詞の性に拠って決まるのであり、代名詞的用法の場合とは違って、男性形・女性形だから「人」だ、中性形だから「物」だ、とは言えません。上の例文のように、対象が人間ではないもの(フクロウ)であっても、修飾されている名詞が女性名詞であれば、女性形
(の対格)が用いられます。
中性単数対格の
は、「なぜ〜(するのか/なのか)?」を意味する疑問副詞として使われます(参考:中性対格の副詞的用法)。
【例】 ![]()
「なぜフクロウを、あなたはアテナイにもたらしたのか?」
※
は中性・単数・対格で、
「あなたはもたらした」という動詞を修飾する副詞として使われています。
(フクロウ)は女性・単数・対格で、
とは性・数・格が一致していません、つまり、
は形容詞として
を修飾しているのではありません。また、
は三人称ですから、
(二人称単数)の主語にはなれません。
・
は、単独で不定代名詞として用いられます。
また、名詞と組にして形容詞としても用いられます。ギリシャ語には不定冠詞がありませんので、
・
によって不定冠詞的な意味合いを表現します。
単独で代名詞として使われた
・
は、「或る人(物)」「誰か(何か)」を意味します。男性形・女性形であれば通常は人間を意味し、「(誰か)或る人(或る男、或る女)」、中性形であれば人間でないもの、「(何か)或る物」です。
【例】 ![]()
「或る人が(=誰かが)君たちを監督している場合は、」
・
は、名詞とともに用いられて、「或る〜」「ある種の〜」「何らかの〜」「〜のようなもの」「ちょっとした〜」といった意味を表します(英語のa、some、any)。
形容詞として用いる場合は、
・
の性・数・格を、修飾している名詞と一致させます。
【例】 ![]()
「或るフクロウが(=何かフクロウのようなものが)君たちを監督している場合は、」
※
は女性・単数・主格。
(フクロウ)も女性・単数・主格で
と性・数・格が一致しています。つまり
は
を修飾する形容詞として用いられています。
・
の性は修飾している名詞によって決まるので、(代名詞的用法の場合とは違って)、男性形・女性形ならば「或る人」だ、中性形なら「或るもの」だとは言えません。修飾している名詞が女性名詞であれば、それが人間でなくても女性形
になります。